ファッションショー会場

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にぃーこり笑ったニコルは、周囲に目配せした。 途端に周囲にいたスタッフたちが、どやどやと ケニーに近づき、着替えさせ始める。 「ちょっと!」 抵抗むなしく、すっかり着替えさせられたケニーは、 メイク台の前に座らせられる。 すると今度は、メイクさんがやってきて、 ケニーにメイクを施す。 「できた」 メイクさんのいたく満足げな声に、周囲の視線が 集まる。 「やっぱりきれいね。笑ってみせて」 笑えと言われて、笑う義務は今のケニーにはない。 仏頂面をさらすだけだ。 「ほんと、もったいない」 アンナの声で、ケニーは瞳を上げた。 「私が精魂込めて作ったメンズラインなのに」 「…アンナ」 「ねっ?」
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