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僕と初めてのカツ丼。
ウェラ国に着いたのは、朝一だった。しかし結局ウェラ国について教えて貰い終わった頃には、お昼時を過ぎていた。
「よし、坊主せっかくだ、昼飯奢ってやる!」
若い方ほおじさんはマウドさんというらしい、ディジさんと呼ばれたおじさんはディージスさんと言うのだが、長いからディジさんでいいと言われた。
そしてマウドさんが、連れていってくれたのは門を越えてすぐの所にあった年季の入った建物だった。
「らっしゃいっ!ってマウドか」
「マウドかってなんだよ!まあいいや、この坊主が今日からウェラ国に住む予定なんだ。引越し祝いにいつものくれ。」
「ほぉーそりゃ嬉しいこった!任せときな、飛び切り美味しいのにしてやる。」
ガハハと笑うおじさんは快活な感じだ。
数分で出てきたのは初めて見る料理だ。
「これは?」
「これも異界の料理らしくカツ丼って言うんだ。スプーン使って食え!縁起良い料理だからな、きっと坊主ならやってけると思うが験担ぎにな。」
スプーンで上に乗ってる肉を切ったら、抵抗なくすんなり切れた。
「柔らかい・・・。」
「あたりめーよ、仕込みに力を入れてんだ、歯のねぇジジババでも食えるぜ!」
米と肉を口に入れれば、初めての味だが、どこか安心感のある味だった。家庭の味と言うやつなのかも知れない。母の手作り料理を食べた事のない私は知らない、優しい味だった。
「美味しいっ」
「ありがとな!また食べに来いよ。」
食べ終わった後は店の前でマウドさんと別れ、宿を目指すことにした。
そこで教えて貰っていたおすすめの宿へ向かった。
この国は中心に建っている塔から4本の大通りが作られておりそのまま外へと繋がる門まで続く。そしてそれぞれの区域を北区、南区、西区、東区に別れている。検問所は南区で、行く予定の宿は西区だ。
行く途中に通る市場は前の国と同じくらい、いや、それ以上に賑やかだった。一瞬人の波に埋もれそうになった。
全体を見てやはり異種目立つな。獣人族は辛うじて見たことがあったが、比ではない。見たり聞いた特徴でなんとなく、あれはエルフかな、とかドワーフかなとか、竜人か?と思うので精一杯だった。正直鍛えてはいたが、どことなくなよっぽさが消えない私は、がっしりした人がいっぱいいるとちょっと怖い。
大丈夫かな。少し不安だ。
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