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僕と門番。
国を追い出され、1ヶ月。馬車を何度も乗り換え、最後は船を使いようやく着いた島国「ウェラ」。
国の入口の検問所まで着いたら、付き添いの兵士が公爵様からと言って大量の金をもらった。
手切れ金か。思ったのはそれだけだった。
金を渡した兵士達は船へ乗り、国へ帰って行った。
「ようこそ、ウェラへ。入国証はお持ちですかい?」
検問所には二人の男性が立っていた。1人は50代位の恰幅のいいおじさんと、30代位のひょろっとした男性だった。今の時間帯が少ないのか、元々ウェラへ来る人が少ないのか、今は私しか居なかった。
「すみません。入国証は持ち合わせておらず・・・やはり入国出来ないですかね?」
困ったように言えば、いや、実際困った。そこまで用意しろよ、とは思ったが、急な事だったし仕方ないか。
「いや、無くても入れるが、いくつか質問と入国料として、銀貨3枚を納めて貰うことになる。」
そう答えたのは、若い方だった。
銀貨3枚か。安いほうか?一応もらった金を覗いたら金貨が大量に入っていた。銀貨100枚で金貨1枚と考えると安く感じるが、あまり無駄遣いは出来ないな。
「構いません。」
「それではいくつか質問させて貰う。」
聞かれたのは名前と年齢、入国目的だった。
「セナ・オグレ・・・いや、セナと言います。訳あって家を追い出されたので家名はありません。歳は18です。入国目的、は移住になるのでしょうか?」
おじさん二人は目を合わせ、何やら話し合っていた。
「すまんな。まあ無いケースでは無いが、珍しいもので。坊主これからどうするかは決めてるか?」
恰幅のいいおじさんは、人懐っこい笑みを浮かべ、私の頭をガシガシと撫でた。
「ディジさん、坊主が困ってますよ。」
若い方のおじさんが助けてくれて助かった。髪がボサボサになったので手ぐしで直した。
「すみません。頭を触られるの初めてだったもので、反応に困ってしまいました。不愉快にさせてしまったら申し訳ない。」
頭を撫でられたことはない。甘やかしては為にならんと、そう父が言っていたから。抱きしめられたこともない。褒められたこともない。
よく考えたら、私はあまり出来ていなかったのかも知れない。勘当されて当然だったのかも。勉強だけじゃなく、乗馬や狩りも人並み以上には出来るがそれだけだ。貴族として当然。それが全てだった。
「そうだったか、すまねえな坊主。初めては綺麗な姉ちゃんのが良かっただろ。」
ディジさんと呼ばれてたおじさんはガハハと笑うが、どことなく気遣われたのだと思った。
「ところで坊主。その様子じゃすることも決まってないんだろ?俺達も殆ど来ない客人を待ってるだけで困ってるんだ。よかったら、俺達がこの国について教えるぞ?」
確かに。何も知らないというのは怖いことだ。情報は命。今の俺は裸で敵地に立っているようなものだ。折角の機会だお言葉に甘えよう。
「御手数ですがお願いします。」
入国料と授業料なものとして銀貨5枚を渡した。最初は要らないと言われたが、流石にそれでは申し訳ないと言えば、渋々受け取って貰えた。
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