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 しかしファントムは空気を割るように淡々と前進していった。のびた手下を起きざりにして、タイヤを半分砂に埋めながら進んで行く。  老いた王の笑い声は、人々から小賢しくもぎ取った富という鎧によって、臈長(ろうた)けた威厳をまとっていた。  彼を乗せたファントムはチコチコとエンジン内部で規則音をたて、優雅に弧を描いて遠ざかって行った。  
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