PM5:16

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   ビリーは島の中央にあるカマルゴ通りから抜けて、名前のない道へ入った。歩を進めるたび、小石だらけの道がぶよぶよと上下した。湖の近くだった。──暴れるな──そう念を押したジーンの言いつけのことはもうすっかり忘れ、鬱蒼とした水際をただ進んだ。  湖が見えはじめると、ちがった空気が足元に流れこんだ。対岸にはひと気のない動物園があった。そこには小さな遊園地(カーニバル)もあった。ビリーは、湖面のむこうで、つつましく回転する七色の観覧車に目を細めた。    
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