1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
ハロウィンの学校帰りは鞄が一回り大きくなる。
テストが終わったばかりだからか持ち帰る教科書はお菓子より少ない。
「ただいま~」
「鞠おかえり~」
キッチンの方から聞こえる母の声と共にかぼちゃの甘い匂いが運ばれてきた。
匂いに誘われキッチンを覗くと母がなにやら忙しそうにしていた。
「今日は鞠の好きなかぼちゃ料理にしたからそれまでに宿題終わらせちゃいなさいよ~」
「はーい」
こっちを見ていないのに私がいることが分かって更に私が何を聞きたいのか分かる私の母。
母親って本当にすごい。
とかなんとか考えながら階段を登る。
自室の戸を馴れた手つきで開けいつも通りふわふわな椅子にボスッと腰かける。
宿題をやらないのかって?
ふふふ…
実は今日“は”もう終わってるのです!
理由?それはね…
「宿題やらないのかニャ」
「うお!ビックリした…」
「うおって何ニャ、魚ニャ」
「…お腹すいてるの?」
「違うニャ!」
この猫は私の式みたいなもので今日とっても大事なキーパーソン。
ん?キーキャットか?
…まあ大事な友達って事。
「今日何の日か覚えてるニャ?」
「もちろん!ハロウィンだよ!」
「正解ニャ。もうリックが待ってるニャ」
「早いね!あ~今からすっごく楽しみだな~!早く夜にならないかな~」
そう。私が宿題を早々に終わらせた理由は彼、リックに会いに行くためである。
宿題なんかのためにリックに会う時間を削りたくないのだ。
リックは超簡単に言うとゴースト、いわゆる幽霊だ。
でも私にとっては世界に1人の大切な人。
そんな彼との出会いは10年も遡る。
10年前の私が6歳の頃、ちょうど今日と同じハロウィンの日。
その日は家族でおばあちゃん家に出かけてた時の事だった。
最初のコメントを投稿しよう!