第一口・―最期の晩餐―

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 皆は最期の時には、一体何を食べようとしている?  ラーメン?  白米のおにぎり?  カレーかな?  それとも、焼き肉とか。  人が沢山いれば被る事もあるが、食べたいものは千差万別で、それこそ一風変わったものを食べたいというやつもいたりする。  俺もその一人。  昔から“自称美食家”で、自分が食べたいもの、口にしてみたいもの、食べたくなったもの、何でも手に入れて、食べてきたんだ。  だから、多分。  俺はこの世界にある、ありとあらゆるものを、一度は口にしているか、食べているものだと自負しているんだがな?  そんな俺が、最期の晩餐として「タベタイもの」。  ……分かるか?  まぁ、パッと思い付くような、ありきたりなものでない事だけは、確かだよ。  今日も市場に行って見定めて、最高峰だと思える食材を調達してきたんだ。  え?  行ってきたのかって?  何を不思議そうに見てやがる。当たり前だろ。仮にも自分が口にする、食べたい食材だぞ。自分の目で鮮度やねんれい、若さ、艶、照り、感度、弾力、何もかもを確かめて買わないと、大抵のやつらはこういう地味だが重要な箇所を他人任せにするから、本当に美味い料理というものにありつけないんだ。  ……おっと、喋り過ぎたな。  悪いな。  食の事となると、つい、周りが見えなくなって、熱くなって、一丁前に“語って”しまう。  悪い癖さ。  治さないと、とは考えているんだが、最近の連中はどうも、新参者らしく、食材選びからを間違えている節がある。
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