11.文化祭

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抱き締めると彼女からも返してくれる。 腕の中に彼女がいるのってすごく幸せで。 それも学校の屋上だから…余計に特別感があるわけで。 「千景ちゃん…。」 「何?」 「ずっとそばにいてね。」 気のせいだろうか? 少し…不安になっている? 「なーんてね!ちょっとシリアス出してみちゃったよ。」 ……と思いきや今度は思いきり笑った。 そこまで気にすることでもないかもしれないけど…。 いい機会だから言葉にしようか。 「ねぇ天音。この先どうなるか分からないけど、天音を好きな気持ちだけは絶対になくならないよ。」 「本当に?」 「本当だよ。私のことは信じられない?」 「そんなの……信じてるに決まってる。」 私たちは、どちらからも顔を近付けてそっとキスをした。 この気持ちがあれば…私は何があっても大丈夫。何があっても天音を守っていける。 根拠なんて何もない。 理論的でもないけど、これだけはハッキリ言えるよ。 「私はこの先ずっと天音だけを見る。今はまだ高校生で子供だけど、貴女に相応しい大人になってみせる。」 「千景ちゃん……。」 彼女の左手の薬指を触る。 「その時、必ず形として示すから…受け取ってくれますか?」 「……はいっ!!」 文化祭の日に夕陽が照らす屋上で。 今はまだ曖昧で、まだ分からない将来に不安を抱えながらも。 私たちは小さな約束をした。
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