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抱き締めると彼女からも返してくれる。
腕の中に彼女がいるのってすごく幸せで。
それも学校の屋上だから…余計に特別感があるわけで。
「千景ちゃん…。」
「何?」
「ずっとそばにいてね。」
気のせいだろうか?
少し…不安になっている?
「なーんてね!ちょっとシリアス出してみちゃったよ。」
……と思いきや今度は思いきり笑った。
そこまで気にすることでもないかもしれないけど…。
いい機会だから言葉にしようか。
「ねぇ天音。この先どうなるか分からないけど、天音を好きな気持ちだけは絶対になくならないよ。」
「本当に?」
「本当だよ。私のことは信じられない?」
「そんなの……信じてるに決まってる。」
私たちは、どちらからも顔を近付けてそっとキスをした。
この気持ちがあれば…私は何があっても大丈夫。何があっても天音を守っていける。
根拠なんて何もない。
理論的でもないけど、これだけはハッキリ言えるよ。
「私はこの先ずっと天音だけを見る。今はまだ高校生で子供だけど、貴女に相応しい大人になってみせる。」
「千景ちゃん……。」
彼女の左手の薬指を触る。
「その時、必ず形として示すから…受け取ってくれますか?」
「……はいっ!!」
文化祭の日に夕陽が照らす屋上で。
今はまだ曖昧で、まだ分からない将来に不安を抱えながらも。
私たちは小さな約束をした。
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