5.とある一日

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「もう。こんなことされちゃうと怒れないじゃない。」 「離そうか?」 「意地悪しないでよ。」 ごめんな、でも意地悪したくなるんだから許してほしい。 ムスッとしながらも抱き締めている私の手に天音の手も重ねてくれるものだから、ついね? それに…。 「千景ちゃん?」 さっきから…項がよく見えるんだよね。 いや、サイドテールにしてるんだからいつも見えてるんだけど。 こう…後ろから抱き締めることもあまりないし、じっくり見ることなんてあまりないから…。 結論から言うと結構ムラっとくる。 ちゅっ。 「ひゃっ!!」 「あ。」 「な、な、何してるのかな!?」 天音が勢いよく離れてしまった。 それも手を項に当てて。 「つい出来心で。項見てたら触れたくなって。」 「『つい』じゃないよ!千景ちゃんのえっち!!」 「むっ。」 項にキスしただけなのに…えっち呼ばわりされるとは。 久しぶりにその言葉を言われた気がする。 ………あぁ。 そういえば天音さんはこういうのに疎いんだった。 それに気付かなかったけど、いつもサイドテールにしてるってことは。 大学とか外で野郎共に見せてるってことだよな?本人無意識だろうけど。 ふむ。 「いっそキスマークでもつけてやろうかな。」 「もう!絶対ダメ!!」 「えぇー。」 「外歩けなくなっちゃうから!」
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