5.とある一日

6/60
前へ
/351ページ
次へ
「それは天音もね?」 「う…。気をつけます。」 私から見たら天音が一番心配なんだから。 いっそ近くで見ていたいくらいなんだ。 だって酔った天音の破壊力に行動力はもう凄まじいのなんの。 「で、でも女の子だけだもん。」 「それでもだよ。行くのはカフェじゃないでしょ。」 「う、うん。『お好みに焼いたれ』っていうお好み焼き屋さんで…お酒も美味しいって評判のところだよ。」 …………何その店の名前は。 お好み焼きだから、お好みに焼けってことか? うーん。 ツッコミは入れない方がいいかもしれない。 スルーしよう。 「あ、ちょっと早いけどそろそろ帰るね。家でやることあるの。」 「そっか。気をつけてね。」 もう少し一緒にいたかったけどしょうがない。ここは我慢。 「千景ちゃん。」 「なに?」 「行ってらっしゃいのキスほしいな。」 「いいよ。」 私もしたいし。 そういえば、行ってらっしゃいのキスなんてしたことなかったっけ。 そう思いながら天音の腰に腕をまわす。 天音も私の首に腕をまわし、密着して。 「行ってらっしゃい。」 「行ってきます。」 いつもよりは短いソフトなキスを交わして天音を見送った。
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!

454人が本棚に入れています
本棚に追加