S.M.B.

1/7
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
宇宙船の中で、僕は肉体活性再構築装置を使い、普段の姿に戻ろうとしていた。 少しづつ身体が出来上がっていく中で、いったいこの星は誰が何のために、作ったのだろうと、いぶかしんだ。 互いにボールをぶつけ合って、なんの意味があるのだろう。彼らはそういう種族なのだろうか。何がしかのゲームで、彼らは競っているということか。野球というものがボールをぶつけ合うということならば、僕はもう野球をやろうとは思わない。 僕は名前をもらった。あの広島ファンが僕に名前をつけてくれた。投擲北別府20号。それが何を意味をするのか、全くわからない。やはり地球に行かなければ、あの阪神ファンが言った仲間には出会えないのかもしれない。 ただいっときではあったが、僕とあの津田14号の間に何か共通の目標があった。それが仲間意識なのだろうか。 あの白いボールを投げていたら、僕はともたちができたのだろうか? 体が完全に再生し、宇宙船を出発させた。あの生命にあふれて、美しい星は瞬く間に過ぎ去り、やがて極小の点となって消えた。 どこに地球があるのか。津田14号はもう地球はないと言っていた。僕が旅に出たのは失敗だったのだろうか。時間があまりにも過ぎ去ってしまったのだろうか。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!