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「そ、そうですけど。どうして……ず、ずるい」
僕が必死に言うと、 ビー先輩はにやりと笑って僕を床からはがしてくれた。
「バランスも大切だ」
ビー先輩は僕の耳元で囁いた。
「そ、そうですよね」
ビー先輩の低い声がなぜか心地よく聞こえた。不思議だ。
バランスも確かに大切と意見を変えたくなってきた。
僕が屈伸をして膝をいたわっていると、「ほらよ」と言って、ビー先輩はもう一つバランスボールを出してくれる。
「ありがとうございます!」
僕は受け取ると、空気入れを特別対策室の隅から見つけ、シャコシャコと入れた。
――ガンガンガンガン
ドアの窓をたたく音がする。
僕はドアの方を見ると課長が鬼のような形相で見ていた。
みつかった……
僕はあわてて先輩たちをみると、先輩たちは我関せずで仕事をしている。
「ヒー」
僕は変なところから声が思わず出た。
先輩たちは笑いをこらえている。
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