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「先輩、何食べてるんですか?」
エー先輩は僕の恨めしそうな声に気が付いて、振り向いた。
僕はエー先輩の机の上に置かれている昼飯を見つめる。
それから僕はビー先輩の机の上もみた。
「天ぷらそば」
「カツ丼」
エー先輩とビー先輩がご丁寧に答えてくれた。
「それが? それが天ぷらそばですか?」
僕はそう言ってエー先輩の昼飯を覗き込む。
どうみてもそれは天ぷらとは言えないものだらけだ。
「本当に? それ、天ぷらそばですか?」
「特別注文だ」
エー先輩は軽く微笑んだ。
絶対あの顔でたらし込んだにちがいない。そうでなければ、海老十本、舞茸、ブロッコリーの天ぷらがつくわけない。しかも衣は全くついてない。言うなれば、素揚げだ。素揚げ! あれは天ぷらとは言えない。そば屋のオヤジもそんな注文、受けるな。そば屋のプライドはないのか!
僕は軽く心の中で悪態をつく。
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