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将生のことを考えていたら無性に会いたくなった。今どこにいるんだろうか。何をしているんだろうか。
遠い異国の地でも草太を思い出してくれているんだろうか。
逢いたい。
そこにあるのは、ただ、シンプルな気持ちだった。
「林はさ、どうしたいわけ? あいつに謝って仲直りしたいの? 友達に戻りたいっていうかさ」
「友達……?」
「そう、自分のせいで~って後ろめたさがあるんだろ? だけどこうやって再会して、あいつはものすごいモデルになってて。昔の子供同士のイザコザなんてとっくに吹っ切れてるんじゃないのか。でも気になるならごめんって謝って許してもらえばいいんじゃないの?」
「友達……」
将生と?
今更友達になろうなんて思えなかった。自分の抱えている気持ちはそんな簡単なものじゃない。そんなにピュアなものじゃない。
この気持ちはもっと……そこまで考えて草太は激しく動揺した。
これって、もしかしてそうなのか___。
恥ずかしいと思っても嫌じゃなくて。会えなくなるなんてさみしすぎて。将生の一挙一動を気にして目で追って。
嫌われていてもそばにいたい。違うと否定するにはもう手遅れだった。いつの間にか居座った気持ちは揺らぎなくそこにある。
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