第6章 謝らせてくれ

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「見たよ。動画」と将生は口元をゆがませた。  生気のない顔は真っ白く、今にも倒れそうな程だった。じっと見つめる瞳だけが強く冷たい光を放っている。 「元木くんと今も仲がいいんだね。留守の間に一緒にご飯に行って、僕の秘密を教えてあげるほど」 「将生……ごめん! 申し訳ありませんでした」  草太はガバリと頭を下げた。何を言われても謝るしかできない。下げた後頭部に冷ややかな視線が突き刺さる。 「何に謝っているの? あれが本当のことだから?」  聞きながら一歩草太へと近づいた。 「気持ちの悪いバケモノは目の色の秘密を暴かれて草太を憎んでいる。だから嫌がらせをしている。そう思ってたんだね」 「そうじゃない」 「何が? そう言っていたじゃない。何回再生しても同じことしか流れないよ」 「違う。いや、違わないけど、違うんだ」 「意味わかんないんだけど」  踵を返し部屋へと向かう将生の後を追って草太もリビングへと足を踏み入れた。ここには何度もきた。激しく求められ獣のように交わった場所だ。 「ねえ」と将生は狂気にも似た笑みを浮かべながら草太の髪をつかみ持ち上げた。 「っ、」 「よく見て。草太。バケモノみたいなこの瞳で僕はこれからどうしたらいい? 気持ち悪い顔を隠したまま黙って引きこもっていればいい?」 「違う」  草太は必死に手を上げ、頬を包み込んだ。生気のない将生の肌はビスクドールのように冷たくひんやりとしていた。
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