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あははと笑いながら、後ろ頭を掻く。照れ隠しするときの明の癖だった。
「折角だし、早速お店の方に行ってみようよ」
「そうだね。場所は分かるの?」
「商店街を一度出ることになるんだ。二つ目の十字路を右に曲がって、ずっと歩いて行ったら目の前に見えるよ」
ネットで調べておいた店の所在地は予めスマホに登録してあるため、すぐに調べることが出来た。歩くこと十分少々。その店は、明の予想以上に大きなものだった。
「想像してたより大きい!」
少し興奮したように遥が感想を漏らした。
「これは……また凄いな。中にも期待出来そう」
「うん、これは凄くワクワクする。ね、早く行こう」
「あ、おい、引っ張るな」
よほどはしゃいでいたのか、遥に袖を引っ張られながら明はその店へ入って行った。中は、外見の印象通り、広かった。しかも、二階にまでコーナーがあるようだ。しかし、値段はおよそ学生にとって安い物ではなく、実際手近にある望遠鏡は十数万というものだった。
「やっぱり買うのは難しいかな」
少し残念そうに肩を落としながら遥がぼやく。
「今日は買うのが目的なわけじゃないし、それに見ているだけでもいいじゃないか」
「うーん、そうなんだけど。やっぱり、実物を前にするとこう、
欲しくなるなーって」
そう言って、遥は気になる望遠鏡があったらしく、その前から
離れようとしない。
「買ったにしても持って帰るのが大変じゃないか?」
「う、そこまで考えてなかった」
「おいおい」
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