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Study001: sin「罪」
過去の失敗が、今降りかかる。
快感という形でこの身を責める。
身体の形を確かめるように手が這う。
胸の膨らみを柔らかく掴み上げ、先端の尖が口に含まれた。
舌先が絡みつき、声を上げそうになる。
声なんか出してやらない。
夢月は口元に手を当てる。
片方の手がスカートを捲り上げるように太腿を滑り、ショーツの中へ。
ゆっくり感度を探られていくような優しい指先。
違う、焦らして反応を楽しんでいるんだ。
感じてなんかやらない。
優しいはずがない。
「もう濡れてますよ」
秘部の割れ目に指を滑り込ませ、耳元で囁く青年。
「感じてるの?先生」
真崎 有都が耳朶を甘く噛む。
同時に肉芽を指先が滑り、夢月は息を飲んだ。
足の裏を電流が走るような刺激が走る。
夢月は口元を掴むように手で押さえ、それをやり過ごそうとした。
それを見た真崎が、愛液を塗りつけるように肉芽を擦り始める。
「…………っ」
「いいですけどね、我慢しても」
首筋に舌を這わせて真崎が言う。
「声を出すまでヤリ続けるだけだから」
舌がぞろぞろと下りていく、胸元へ。
「んっ……」
胸の尖を舌で転がされ、同時に肉芽を摘まれる。
息が苦しい。
思い切り声を上げたくなる。
こんなの受け入れたくない。
こんな目に合うのも、今日で3回目。
どうして、こんなことになったのか……
2日前、副担任を務めていたクラスを2週間だけ担任として受け持つことになった。
担任の先生が急遽入院した為だ。
「夢月先生、運ぶの手伝いましょうか」
真崎 有都が教材の入った段ボールを持ち上げてくれた。
整った顔立ちに長身、昨年まではバスケ部で有能な選手だった為、他校にファンクラブがあると言われている。
気が利いて成績も良く文句の付け所がない優等生。
だと思っていた。
教材室の内鍵を真崎がかける、その時まで。
「これ、夢月先生ですよね?」
一枚の写真を目の前にかざされる。
写っているのは5年前の自分、露出の高い服に、派手な化粧、男に絡みつく姿……学費の為にバイトしたキャバ嬢の時のものだ。
「なんでこんなっ!」
奪い取ろうとするとヒョイと避けられる。
身長差が憎い。
「ここ進学校だし、教師陣もPTAも風紀にうるさいし、こんな過去がある女教師はクビですね」
真崎が形の良い唇の端に笑みを乗せた。
クビをチラつかせてどう言うつもり?
悔しいけど、この学校ならクビも有り得る。
PTAは特にうるさいし、多額の寄付をしている婦人会長なんかに知れたら、教員職絶たれそう。
調子に乗ってマンション買ったし、無職は不味い。
「どうします?コレ」
真崎がヒラヒラと写真をひらつかせる。
「どうって………いくら欲しいの?」
「うわ、速攻でお金の交渉ですか」
「じゃあ、どうすればいいのよ」
「夢月先生をください」
耳を疑う。
そんな綺麗な顔で何を言ってくれてるのか。
くださいって、お嫁にください的な?
ない、ないないないない!
8才も年上の教師にそんなこと求めるわけがない。
生まれた時代が違うせいか、何を考えているのか察しもつかないなんて。
ジェネレーションギャップ半端ない!
もはや意味不明だ。
「ごめんね、言ってる意味がいまいち」
首を傾げると、真崎がくすくすと笑った。
揶揄われているのだろうか。
「分かりやすく言いますね」
真崎が歩み寄ってきて、夢月は思わず後退る。
ガタリ、と後ろ足がぶつかった事務机が音を立てた。
追い詰められるように、距離が近づき、真崎が事務机に片手をつく。
「1日1回ヤラせて」
「………ヤラ?」
何を、と尋ねようとして夢月は言葉を飲み込んだ。
思い当たったことに頬が熱くなる。
「何をって聞かれなくて良かった」
夢月の反応を見て真崎が微笑んだ。
何が、どこが優等生?
脅してsexを要求って、何を考えてるの?
このルックスなんだから相手なんて選びたい放題だろうに、何で私なワケ?
謎過ぎて、頭が追いつかない。
ギギッと体重をかけた事務机が鳴り、夢月は真崎が身体を寄せたことに気づいた。
顔の距離が近づき、夢月は反射的に目をつぶり顔を逸らす。
首筋に柔らかい感触が触れ、ぬるりと生温かいものが這った。
背筋でざわざわとした何かを感じた。
不快、ではない。
肌にかかる真崎の吐息が甘く染み込むようにくすぐったい。
脇腹に真崎の指先が触れ、夢月は慌てて真崎の身体を押し退けた。
「ストップ!待って、ちょっと、待って!!」
叫びながら真崎の顔を見上げると、仕方ないなと言うかのように溜息をついた。
「あのね、真崎くん、年上の女に何を求めてるかわからないけど、その……ご期待に添えないと思うの」
「充分に添えそうだけど」
真崎がそう言うと夢月の胸に手を置く。
「思っていたよりデカいし」
軽く揉まれて夢月は慌てて、机の上へと逃げていた。
「そ、そういうことじゃなくて!慣れてないの……そう言うことにっ」
「慣れればいいだけ。そのうち慣れるし」
「だから、その」
夢月は茹で上がるほど顔を赤く染め、真崎から目を逸らす。
「経験ないの………処女なの」
今時、26にもなり処女だなんて公言できたもんじゃない。
真崎は遊びたくて言っているのだろうけど、それに付き合えるようなノウハウが人並みにはないのだ。
「へぇー……………意外」
「面目無い……」
「キャバ嬢やってたのに?」
「体売ってたワケじゃないもん」
「26、だよね?」
「確かにっ……」
「彼氏は?」
「いたことないです」
「マジで?」
「だから、添えてないのっ」
信じられないと言うように横顔をガン見され、夢月は吐き捨てる。
「そんなことない」
グイッと、肩を押され夢月は机の上に押し倒されていた。
押し退けるように真崎の胸についていた手を掴まれる。
「期待以上」
見下ろす真崎の口元が緩やかに弧を描いた。
その時にきちんと断れば良かった。
何故か、思ってしまった。
処女であること、経験がないこと、それも全部丸ごと認めてくれたような。
受け入れて貰えたような、そんな気がしてしまい、気が緩んだ。
バカなことをした。
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