最終.白雪姫

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「遅い!!何してたの!」 クラスの皆と合流するために体育館へ行くと、やっぱり勢揃いしていた。 どうやら来てなかったらのは、私だけだったらしい。 お陰様で優芽はぷりぷりだ。 「優芽は私のこと好きだよね。」 「なっ……バカ!そんなんじゃないわよ!」 「うむ、優芽はずっとソワソワしてたぞ。」 「そうじゃない!芽依の馬鹿!!」 うんうん、今日も優芽は可愛いね! 何気に私のことを気にしてくれるところとか健気でいいよ! 「ごめんって。起きたら9時は過ぎてた。」 「最近早かったから忘れてたわ…あんたが本来遅刻魔だったってこと。」 私の魔女役衣装は簡単。 ほぼ羽織るだけだから。 「白鷺さん!!」 楽しく話していたのに、彼女を呼ぶ声がはっきり聞こえた。 あの王子野郎だ。 「すっごく綺麗だ…本物のお姫様みたい。」 「………そう。でも衣装が綺麗なだけだよ。」 聞きたくない声ほど……はっきり聞こえてしまう。 主役の二人の衣装は派手だ。 本物の王子とお姫様のようで。 「さすが主役…だな。絵になる。」 「そうね。すごいわ。」 王子野郎に便乗したくないけど、それほど白鷺さんは似合っていた。私だけのお姫様だったらどれだけいいか。 「マッキー、優芽。」 「ん?」 「なに?」 「頼みがあんだけどさぁ、乗らない?」 思わずニヤニヤしてしまった。 そんな私の顔と言葉でマッキーは「待ってました」と楽しそうに笑い、優芽は溜め息をついてからそっぽ向いたけど……。 「一応聞いてあげる。」 照れながら言ってくれた。 この反応は優芽なりの照れだ。そっぽ向いているけれども、耳がピクピク動いてるから。
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