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どれくらい走ったか分からない。
けれど私がたどり着いたこの場所は……。
「……ここは。」
「ハァハァ…空き教室。今はほとんど使われてないから、よく使ってる。」
乱れる呼吸を整えつつ、答える。
この教室は、よく私がサボりのために使っている場所。
本当に誰も来ないから、鍵も変えた教室。
屋上とか考えたけど、やっぱりここにしたのは誰も来ないし、このあたりは関係者以外立ち入り禁止だから。
「そう………。」
「白鷺さん。」
やっぱり気まずい。
舞台の途中で拐った上に、悲しませてしまったばかりだから。
でももう気にしないもんね!!
私はやりたいように、言いたいことは言うもんね!!
「どうして…。」
「ん?」
「どうして、こんなこと…したの?」
どうしてとくるか。
まぁ分からんでもない。いきなりキスされて、連れ出されたら訳分からんよね。
「そんなのさぁ。好きだからに決まってんじゃん。」
「っ……!?」
「勿論恋愛的な意味で、だよ。」
「うそ…。」
「嘘なんかじゃない。」
うーむ、なかなか信じてくれないなぁ。
嘘でこんなことしないっての。
「白鷺さんさ、私を誰だと思ってるのさ。」
「誰って、」
「私は阿島紫乃。誰よりも自由で自分勝手、その上欲に忠実なんだよ?」
「阿島、さん…。」
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