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「ここ、空いてますか?」
お昼の学食で、コロッケ定食を食べていた肇は、ふいに声を掛けられた。
「あ、はい。どうぞ」
顔を上げ、おや? と思う。
席は、他にも充分空いているのだ。
なぜ、選んで俺の前に?
「鳴滝 肇さん、ですね」
「ええ、まぁ。そうですけど」
「実は僕……、以前からあなたに憧れてて……」
そこで肇は、ようやく胡散臭げな視線をやめた。
すばやく観察眼に切り替え、眼の前の学生を眺める。
さらさらの髪は、綺麗に整えられている。
眉カット済。
髭は薄い、というか、無いに等しい。
清潔感溢れる服からは、ほのかに良い香りが。
爪は短く切ってある。
手荷物は、コンパクトにまとめている。
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