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ちらし寿司に、サーモンの香り揚げ。手毬麩のお吸い物。
見た目も匂いも美味しそうな手料理。
鳴滝 肇(なるたき はじめ)は、嬉しそうに食卓を眺めた。
「嬉しいな。ちらし寿司は、母さんがよく作ってくれたよ」
「そう」
またか。
また、『母さん』か。
肇と半同棲生活を始めて、もう3ヶ月になる。
和志(かずし)は笑顔を見せながらも、心の中では唇を噛んでいた。
料理は好きだし、腕に自慢もあった。
だが肇は、何かにつけて彼の母親が作ってくれていた料理と和志の料理を比べるのだ。
いわゆる、『おふくろの味』を求めてやまないのだ。
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