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翌朝、余程疲れているのか、ぐっすり熟睡している男を叩き起こし、俺の服に着替えさせてから一緒に街に出稼ぎに出かけた。 トラックの荷台に、仕事に行く数十人の男たちがすし詰め状態で乗り込んで、街まで送られた。 早朝出発なのが幸いして、ギャング連中には見つからなかったので、何とか街まで無事辿り着くことが出来た。 男と一緒にゴミ集めの仕事に一日中精を出した後、その日の日当を貰ってから、このまま街に残る男と、懐に入れてあったウォッカで乾杯し、別れた。 帰りのトラックの荷台に乗り込む前に、ペットボトルと夕食のチキンを買い込んだ。 トラックに揺られてゴミ山に戻ると、そこから歩いて自宅である洞穴へ真っ直ぐ向かった。 土の中に埋めてある、大きなガマ口の財布に今日の稼ぎを入れて、また土の中にガマ口を埋めた。 こいつが俺の今の財産だ。 不用意に持ち歩かないし、洞穴の中にも置いておけないので、防犯用に土の中に埋めてある。 そこから少し離れた地面に、また穴を掘り、今日の晩飯であるクスクスの材料を土の中から取り出した。 熱湯で戻したクスクスの横に、買ってきたチキンを添えて、今日の晩飯は出来上がりだ。 クスクスはまだ半分残っているが、それは明日の晩飯用に取っておき、また埋めておくつもりだ。 だがその時、丘を登ってくる複数の足音が聞こえた。 またギャングどもが戻ってきたのか? と疑心暗鬼になり、俺はクスクスとチキンを鉄の扉の向こうの寝室に隠した。 俺は寝たフリをして、洞穴の中に寝転がった。 複数の不気味な足音が、徐々にこちらに近づいてきた。
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