お母さんへ

2/3
前へ
/67ページ
次へ
お母さん。 私がお母さんに初めて嘘をついたのはいつでしょう。 私も覚えてないのです。 けれどいつのまにか お母さんに対して嘘をつく力がついていました。 作り笑いもきっとそのせいで得意になったのでしょう。 お母さん。 私は家族が大好きでした。 今はもう、父は父ではないのかもしれませんね。 けれどわたしにとっては 小さい頃の2.3年、眠る前は背中をかいてくれて 背中に寄り添っても何も言わない、 温かい父だったのです。 日曜日のお父さん参観には来てくれて 木製の丸椅子を一緒に作ってくれる優しい父だったのです。 面白い父だったのです。 たしかに今22歳になり思い出してみれば ところどころ変なところもありましたね。 けれど、 わたしには父でした。 悲しい悲しい父でした。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

260人が本棚に入れています
本棚に追加