毛利 拓郎

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 ……上にが居るのだ。  あんな不愛想な老人が人を招く様には見えないが、急に物音がするようになった。さっきなんか“ガッシャーン”と2回も何かが崩れる様な大きな音がした。普通じゃない。流石にその時は倒れて死んだか?と思ったが、その後に聞こえた声で状況がさらに混迷の度を深めた。 ”それ私も同じこと言えますからねー!!”  ……確かにそう聞こえた。  大きな声で天井から伝わる響きだったからあれは上の階、204からだ。  訳が分からない。  声色も爺さんにしては高い気がする。  あの部屋には誰かが居るんだ。  そんな事が今回のに起きたもんだから作業に集中出来やしない。  明日は朝からバイトだ、今日はもう寝る事にしよう…。  関係ないと思うが昨夜、ほのかな光が窓から見えた。ちょうど二階部分で光ったと思うがあれは何だったのか。タイミング的にはそれからだが……。  また余計な事に思考を使ってしまう。  俺は布団に入った。
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