毛利 拓郎

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 向かって行った方にはいつも見かける公園がある。恐らくそこへ行くんだろう。  昆虫採集でも始めたのか?  いや、いつも池を眺めてたな…魚か?亀か?  いずれにせよめっちゃ気になる。もしかするとこのままついて行けば204の謎が解けるかもしれない。がしかし、先日遅刻で注意されたばかりのバイトも遅れる事は出来ない。 「んーーー」  俺は爺さんと反対方向へと歩きだした。  一度、この事から離れて頭の中をリセットするのも良いかもしれない。そう思って仕事に向かった。  しかし、  ……それは逆効果だった。離れたら余計に気になり、まったく仕事に集中できない。  まるで恋をしたかの様に何十秒かに一度、爺さんの顔がボンヤリと浮かんでくる。完全に生活に支障をきたしているじゃないか。  小説も進まず、仕事もミスして注意される……。もうやるべき事は一つしかなくなった。
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