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「……」
箸を置く栄一。大きく息を吸う。
「わーはっはっはっはっは!わーはっはっはっは!」と大きな声で米を飛ばしながら笑った後、何も無かったかの様に夕食を進める。
「これがわしの笑い方だ、わかったか?」
「栄一も笑うのか」
「……。ユウタ、暫くはお笑い禁止だ」
「ええええ!?どうして」
「もっと先に覚える事がある。これからは時間割を決める」
「時間割?」
翌朝、新聞の番組欄から教育番組や歴史、ドキュメンタリーを中心に印をつけてユウタに渡した。
「今日はこの赤ペンで丸した番組を観たら良い」
「おお、ありがとう」
「今から図書館で色々と本を持って来てやる。それも読むと良い」
「おお、ありがとう」
玄関で靴を履いていると「栄一」とユウタが声を掛ける。
「そこまでしてくれるとは思わなかった。栄一を選んで良かった」
「……行ってくる」
図書館で本を選んでいる最中、あるモノが目に留まった。
「ん?」
それは動物図鑑のページに居た。
「アイアイ……」
アイアイアの中指はユウタが変形させた指の様に一本だけ細く鋭い形をしていた。
「長く骨ばった中指で獲物を捕らえ…、居たな…」
2時間程経っただろうか、その後コンビニで今度はプリンを買って家に帰った。
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