大山 宏文 Ⅲ

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「はい。今、地球に移るための準備をしています」  そう言ったユウタに皆、沈黙する。 「私はここでいう一週間ほど地球に留学して情報を持ち帰り、身体検査をしてからまたやってきます。今度は全員で」  優しい口調で話すユウタだが俺はその言葉に総毛立った。  それはつまり、地球に〝移住〟するって事だろうか。そうだとしたらこの異星人はさらっととても恐ろしい事を言っている。 「ねぇねぇちょっとまって。それって地球に住むって事?」と、まるで井戸端会議の様なノリで話しかける真紀。 「はい」 「全員って何?」 「私達ゲルポ人です。ゲルポにある太陽は今とても危険な状態でいつ超新星を起こしてもおかしくない状態になってしまいました。しかも時間をかけて近づいて来てます。いずれゲルポが住めなくなってしまうのでここ地球に移動することに決めました」  俺を含め、皆ユウタの言葉を理解しようと必死になる。真紀に関しては視線を上にしたままボソボソとユウタの言葉を繰り返している。多分ついて来れていないのだろう。
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