大山 宏文 Ⅲ

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「私達ゲルポ人と地球人は親和性が高いという事がわかっています」 「しん、え?しんー」と真紀が再び止まっていたが正直俺もよく解らなかった。 「お義父さんわかりました?」 「えーとー、似てるって事か?」とユウタに聞く親父。 「はい、融合しやすいのです。ですから家族になってしまえばいいのです」  ……ダメだ、イライラが募っていく。言っている事も無茶苦茶だし、何より〝家族〟という言葉に引っかかった。 「そんな簡単に言うなよ!なんだよさっきから!自分達の事しか考えてなじゃんか!自分勝手すぎるだろそんなの!」  宇宙人に怒鳴る自分を真紀と親父は不思議そうな顔で見ている。 「自分勝手は地球人程酷くはありません。それに地球は誰の物でもありません」  即時にああ言えばこう言ってくるのもムカッとくる。どうにか論破してやろうと俺も気持ちが昂ってくる。 「地球はな!地球に住んでる皆の物だ!」 「それは勝手な人間が勝手に思っている事」 「いきなり外から変なのが来て生活してみろ、地球の生態系が崩れちまって色んな生き物が死んじまうよ」 「それは人間も日々行っている事」  言葉に詰まった。  それを見た真紀が小声で呟く。 「押されてるよー宏文―」 「うるさい」  ユウタが冷然と続ける。 「時間をかければまた新しい生命が生まれ、新しい生態系が出来る。生態系は変化して当たり前なのです」 「……」  論破された俺の横で「あ!」と真紀が何か思いつく。 「じゃあもうさ、私たちは友達です!って言いながら来ちゃえばいいじゃん!」 「真紀、そういう事じゃないんだよ。それにさ、マーズアタック観てないの?そうやって言いながら人を殺していくんだぞ?誰も信じないだろ」 「観てないし、てか知らないし」 「知らない?かーー」 「何よ?」  また真紀との余計なディスカッションが始まりそうな所で親父が「なぁユウタ」と遮ってくれた。 「はい」 「悪いがわしらに出来ることはせいぜい日本の暮らし方を教える事くらいだ」
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