大山 宏文 Ⅱ

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「会議ですか?」とユウタの声が聞こえた。 「……」  そもそもユウタって何だよ。自称異星人が自分の飼っている犬の名前を名乗っているのに今さらながら腹立ってきた。 「おい栄一、ゼリー食べていいか?」 「その前に、その新聞紙とハット、取っていいぞ」と、親父が発した言葉にゾッと寒気立った。  ……何故だ、  俺は異星人とかいうふざけた設定を本当に信じているのか?親父と真紀が言う通り、俺はビビッているのか…?ビ…ビビってるんだ…、俺は自分に嘘をついてたんだ…、会社でもそうだ。正英に偉そうな事言ってるけど結局は自分に嘘をついて誤魔化してたんだ…。真紀の言う通りだ。見栄を張ってたんだ…俺は。  もう自分に嘘はつかない。そう誓った。 「ちょっと待ってくれ親父、心の準備が…」  時すでに遅し。  ユウタがハットを取り、新聞紙がパサッ落ちた。
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