大山 宏文 Ⅲ

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 指を口元に当て、何かを思考していた親父がふと顔を上げた。 「おいユウタ、隠れろ」 「え?そ、そうだね先ずはユウタを隠そう、ユウタ早くトイレに――」 「トイレじゃない」 「え?」 「下に毛利って若者が住んでる、そいつの部屋にいけ」 「そ、その毛利って人は知ってんの?このー、事情というかゲルポ人とかー」 「知らん、ただ感づいては、いる」 「……大丈夫かよ。お、親父は?」 「誰か居なきゃいかんだろう。早く行け」 「……。おい、真紀」 「……ん、うん」  真紀と2人でユウタの頭を再び新聞紙で隠し、急いで玄関へと向かう。  奥では親父が近づいて来るピンクの玉を鋭く睨んでいた。 「……」 「あなた、早く靴は居て!」 「真紀、ユウタを頼む」 「え?」 「大丈夫だから」 「……わかった。気を付けてね」 「うん」  ユウタの手をとり、下へと降りていく真紀。  俺は部屋へ戻り親父の隣に座った。 「……なんで戻って来た」 「……心配だからだよ」 「……そうか」  ピンクの大きなシャボン玉は目の前まで来ていた。そして窓の前で淡く光り、パンッと割れた。
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