0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
そういえば
小さい頃、よく遊んだ公園のベンチに座っていた。緑に囲まれた公園は入り口が一つの家の近くの公園だった。
中央にある滑り台に入り口近くにある二つのブランコ、少し奥にあるシーソー。そのシーソーの近くにあるベンチに座っていた。
日の光を浴びるのは久々で、眩しさに目を細めた。
小さい頃は、あんなに広いと感じていたのに大人になって来てみたらこじんまりとした公園であったことを初めて知った。
茶色く燻んだベンチに座る真希は、疲れた顔をしていて、目は何処か別の場所を見るように遠くを見ていた。
優しく、真希の頬を撫で、髪を揺らす風。
優しく吹いた風は公園に生える草花をも揺らす。
ざわざわと揺れる植物をぼんやりと見つめていた。
そういえば、綾ちゃんと遊んだ日ついでに博物館であの蛸を見ようとしたんだ。
でも、公園で遊んだ後、博物館に行く途中で買い物中の綾ちゃんのお母さんに会って綾ちゃんが買い物について行くってあの日は、解散になったんだっけ。
ああ、そういえばあの蛸一回見たきりでその後見に行ってないな。
ふと、あの蛸がまだあの濁った目をしているのか気になった。
ベンチから立ち上がって、そのまま公園を後にした。
立ち去る真希の後ろで変わらずに草花が風に揺れていた。
最初のコメントを投稿しよう!