博物館

1/1
前へ
/6ページ
次へ

博物館

記憶にある博物館から老朽化が進んだからか、少しボロくなったが、博物館は変わらずあった。 公園からさほど遠くない場所。公園から出てスーパーの近くを通り、道なりに歩くと博物館がある。ボロくなったがそれ以外は然程変化はなく、それが妙に嬉しかった。 近くに人の気配はなく、少し錆びた扉のドアノブを引いた。 キィ、と音を立てて開いた扉。 中は明かりがついており受付の女性がいるだけだった。 「こんにちは」女性と目が合ったため、消え入りそうな声で挨拶をした。 「真希ちゃん?」と、女性は私を見るなり名前を呼んできた。 驚いて、女性の顔をまじまじと見てしまった。 「珠香ちゃん?」 なんとなく、中学の頃同じクラスだった子の面影があった為、名前を呼んでみたら。 「そう、珠香!久しぶり!元気だった?」 「うん、久しぶり。元気」 どうやら当たったらしい。本当に嬉しそうな顔をしている。 「入っても大丈夫?」 一応、入場してもいいか聞くと 「あっ、ごめん、私今からご飯。一人になっちゃうけど、それでも良い?」 なんて、それで良いのかと思ってしまう返事が返ってきた。 でも、一人の方がいいかと大丈夫と返事をした。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加