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10月28日(月)
どうも。新です。
昨日は日記を書くということだけに集中してしまい、説明が足らなかったような気がします。反省。読み返してみると、ずいぶんと丁寧な口調で括弧内に心のつぶやきが書かれていて、あんまり自分らしくないなあと思うのですが、文章というものはそういうものなのでしょう。慣れてきたら、もう少し自分らしく書けると思いますので、どうか温かく見守ってください。
それでは、今日の俺と空青の会話です。今日は空青が店に来てくれました。その時の会話になります。
「くぅ! 来てくれたんだ?」
(閉店間際の時間でした。俺の店は飲み物の他には簡単な料理とケーキ類しかないので、閉店間際の時間帯はあまり客がこないのです。くぅは、たぶんそれを狙って来てくれたんだと思います。かわいい)
「あ、ぅ……終わりかけの時間にごめんね。でもっ、昼とかだとさぁ、おまえの店けっこう繁盛してるし、バイトの人もいるし……そんな時間に俺みたいなキモいネガティブ陰キャコミュ障野郎が来たら迷惑だろ」
(自分のことをここまで卑下出来る人間も中々いないと思います。だけど俺は、くぅのそういう過剰なまでに自己評価が低いところを愛しく思っているので、この台詞を聞いていた時の俺は、それこそキモい顔だったことでしょう)
「迷惑なんかじゃないよ。なんか飲む? あ、ケーキ食べてってよ。売れ残りで悪いけど」
(カウンター席の端っこに座ったくぅに、俺はわざと残しておいたキャラメルシフォンケーキを出しました。売れ残りなんかじゃないです。なんだったらキャラメルシフォンケーキは一番人気といっても過言ではありません。前に、くぅに食べさせた時にものすごくおいしがっていたので、いつくぅが来ても出せるように、いつも残してあるのです。くぅが来てくれて良かったと思います。来なかったら二週間続けてキャラメルシフォンケーキを食べなければいけないところでした)
「わあ。これ、前に持ってきてくれたやつ?」
「うん、そう。くぅ、これ好きでしょ」
「うん! 俺なんかが、こんなおしゃれなケーキを食べるとか、ケーキさんとケーキを作ってくれた人に申し訳ないけど……」
(はい、かわいい。あ、すみません。ついテンションがあがってしまいました。聞きました? いや、読みました? 俺は脳内再生されるので、聞いていることになるのですが、くぅの『ケーキさん』かわいくないですか?)
「なに言ってんの。ケーキなんか誰かが食べなきゃ、ただの卵と小麦粉と砂糖の塊に過ぎないんだから、くぅが食べてくれたら本望だよ」
(はい、ブラックな俺……。ケーキなんか、って。ただの、って。これはいけませんね。反省)
「ところで急にどうした? なんか話でもあった?」
「あっ、そうそう、そうな、んぐっ」
「あー、もう。食べながら喋るから……ほら、コーヒー飲んで」
「っ、ん、ごめ……」
(……えろくね? あ、いや、俺はほら音声で聞いてるから、ケーキが喉に詰まった感じとか、噎せて声が途切れる感じとか……これは、ここだけ切り取って保存せねば)
「新、誕生日だったじゃん。俺……忘れちゃってて」
「誕生日って……俺の誕生日、四月だよ? 今もう十月だよ?」
「わかってるわかってるわかってるわかってるすげえわかってる。半年も過ぎて誕生日とか言われても……っていうのは、さすがに俺でもわかってる。けど、忘れてたんだ、ほんとごめん」
「いいよ、そんなの」
(俺の誕生日は四月八日です。くぅが俺の誕生日を忘れるなんてことは毎年のことで、年内に思い出してくれたらまだいいほうです)
「なんかないの? 欲しいもの。俺さ、こう見えてけっこう儲かってるし、いや、儲かってるって言い方なんかいやらしくて嫌だけど。俺自身は物欲ないし、お金の使い道ないから、えっと……店! 店のリフォームとかは?」
「……いや、有り難い話だけど、この店まだ一年よ? リフォームするほどくたびれてもないし、誕生日プレゼントに店のリフォームって、どんな富豪だよ」
(くぅの金銭感覚は時々心配になります。世間知らずというわけではないのですが、本人が言うように物欲がないためお金の使い方を知らないのです。あと、くぅは自己評価が超絶低いですが、くぅの描くイラストはゲーム界隈では神と崇められるほどなのです)
「別になんでもいいっていうか、なんもいらないよ。思い出してくれただけでじゅうぶん」
「そ、そんな……だって、だってさ、おまえは毎年俺になんかくれんじゃん。忘れないし。そりゃ、俺が選ぶセンスのないものなんておまえは欲しくないかもしれないけど……」
「そうじゃなくて、くぅの気持ちだけでじゅうぶんだってこと。わざわざ店に来てくれただけでも嬉しいんだよ」
「あらた……」
(皆さん。ここまで言って、俺の気持ちがくぅに伝わってないとかおかしいと思いません? 普通に恋愛ドラマの台詞じゃないですか。この調子だと例え『愛してる』と言ったとしても、俺の想いが正しく伝わらない気がしてなりません)
結局、くぅはケーキを食べコーヒーを飲んで帰っていきました。送ると言ったのですが、何故か強めに拒否られました。地味にショックです。
明日からまた、しばらくキャラメルシフォンケーキを食べ続ける羽目になりそうです。
それでは、また明日。
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