10月の日記

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 10月29日(火)  大変なことになりました! ちょっと聞いてください、いや、聞け。嘘です。是非、俺のダイアリー読んでってください。どうも、新です。  前回までのあらすじとして、空青が俺の店にやってきて、四月八日の俺の誕生日をこの十月に思い出したという流れがありました。プレゼントとして店のリフォームとか、どこのわがまま富豪だよっていうような提案までされました。それは、まぁ断ったわけですが。  空青が超人見知りでネガティブで陰キャなインドア派だということは、昨日までの日記でなんとなくわかってもらえたと思うんですが、そんな空青を外で見かけたという大事件が勃発したのです。  本当なら仕事帰りに空青の部屋に寄ろうと思っていたのですが、あまりのショックに行くことが出来ませんでした。ひよって申し訳ない。だから今日は会話の書き起こしが出来ません。  とりあえず、俺が目撃した一部始終を書いておきます。  今日俺は、仕事の合間に買い出しに出かけました。あわよくば、買い出しの帰りにくぅの部屋に寄って一緒にランチでもと思っていたのです。  買い出しを終え、くぅと食べるためのサンドイッチを購入し、るんるん気分で歩いていたわけなんですが……なんと、俺がサンドイッチを買うために寄った百貨店にくぅがいたのです! くぅはちょうどエスカレーターに乗ったところで、まっ昼間にくぅが外にいるということも驚きでしたが、なんとなんとくぅは一人じゃなかったのです! ショック! あらたショック! いや、笑うとこじゃないです。笑わないでください。いや、マジで。  くぅと一緒にいたのは俺の知らない人で、しかも女! お・ん・な! ありえねぇ。マジありえねぇ。まぁ、これが? 見るからにお仕事関係の相手ですってわかる感じなら、俺もそこまでショックは受けないのですが、ふつーにデートって感じで。ふつーにかわいい子だったわけです。  黒髪ショートボブで、小柄で、かわいいっていうよりは美人なほうで、すごくおしゃれでもありました。二次元の世界にいそうな、ちょっとツンツン系のアニメキャラみたいな感じで、たぶん、くぅの好きなタイプだろうと思います。  いや、もう……やばくね? あの子が、くぅにどんな感情を抱いているかは別として、くぅは女の子に免疫がないから、どんな子だろうが、相手がくぅをどう思っていようが、好きになっちゃう可能性ありありなわけで、なんだったら、もう好きになってる可能性もある。  そう思ったら、俺はもうその場から動けなくなってしまって、三十分くらいバカみたいに立ち尽くして、店に戻ったらくそ生意気なバイトに嫌味を言われた次第です。時給さげんぞ、ガキが! 店長がハートブレイクしてんのに、なーにが「地球の裏側まで行ったのかと思いました」だ! 行けるもんなら行きたかったわ! くぅと二人でな!  そんなこんなで、仕事が終わっても、くぅのアパートに足が向くことはなく、すごすごと自宅に帰り、こうして日記を書いている次第です。  今日はもう寝ます。明日には、くぅに会いに行ってことの次第を問いただそうと思います。  おやすみなさい……。
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