「だらしない女・・・」

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だらしない女・・・ オープンカフェ風の、バーのテラスで、ラストオーダーを頼んだ直後に“その二人連れ”はやってきた。どこにでもいそうな若い男性2人は、荒い息をつき、怪我でもしているのか、着ているシャツには血痕のようなモノまで見えた。 残っている客の注目が嫌でも集まる中で、空いている席にどっかり腰を下し、 「お客様、もう、閉店の時間でして…」 と申し訳なさそうな店員を一切無視して、二人は早口でお互いを罵り始めた。 以下は彼等の会話である…  「だから言ったじゃねぇかよ!“あれ”は止めとけってよ。大体、廃墟前で拾ったのなんてろくでもねぇってよ。」 「だって仕方ねぇだろ。あんな山奥で1人なんて、あぶねぇって、お前だって言った じゃねぇか?それに…あの子、可愛かったし…」 「はじめはな?それが、あれじゃねぇか?車ん中で様子可笑しくなってよ。お前だって 見ただろ?咳き込んだかと思ったら、血ぃいっぱい吐いてさ。噴水みてぇに噴き上げてた。 買ったばかりの新車だぞ?腹だって、血みどろ、中身出てたぞ!生きてる女じゃねぇよ。 しかも、その状態で…」 「笑ってた、ゲラゲラ笑ってた…だらしなく、舌だってベロン、ベロンで。訳わかんねぇよ。 あんな状態で、何で追っかけてこれんだ…?」 「手も足も腐ってた。グチャグチャで色んなモン引き摺ってたよ…おっかねぇ、おっかねぇよ…」 冬でもないのに、肩を抱き、震えながら喋る彼等の後ろから、何か濡れた衣類をそのまま 引き摺るような音が幽かに聞こえ出す。 何人かの青褪めた客が席を立つのを見て、自分だけでないと確信し、新たな悲鳴を上げる若者2人を残し、早足でバーを後にした…(終) 
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