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下校時には、これまた金持学園名物となってしまった「東山彼方へのプレゼント会」が行われる。
この会は彼方の機嫌次第で取り止めとなる事も度々あるが、今日は行われるらしく、校門には他校を含め多くの女子が列を為して待っていた。
彼方が校門へと向かう。普段の取り巻きは気を利かせて離れ、彼方の周りには女子生徒だらけとなる。
ぎゅうぎゅうに詰められた人の山。しかし、決して彼方には触れず、迎えにやって来た東山家の使用人にプレゼントを預け、彼方がさっさと歩く姿を見送る。
はたから見たら、大層奇妙な光景である。
彼方が車に乗り込み、車が見えなくなるまで女子生徒はその姿を見送って解散する。
この会で彼方が一言も発することはない。
今日もまた無言であった。しかし、女子達はその姿を間近に見られたことに満足し感謝して、また明日も来ようと決意するのだ。
橋水は友人と遠くの方からその会の様子を見ていて、一種の宗教だな、と思っていた。
この他にも、彼方の入学によって、色々と変わってしまった学校の風景が多くある。
彼方の発する一言で、授業が潰れ。彼方の行動一つで、イベントが出来る。
地位と金が全ての金持学園だからこそ、出来る芸当であり、常人には決して理解できない出来事だ。
そう、地位とお金があるが故
彼方にそれがあるが故に、成り立っていたーーーー。
冬休みに入った年末までは。
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