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しばらくして「あ、そうだ!」とケイスケは飛び上がった。まだ母さんにプレゼントを見していなかったのだ。スニーカーとハンドクリームを腕に抱え、テーブルの上にプレゼントを置いた。
「かっこいいでしょ! 探し回って、やっと見つけたんだ。これでもっと快適に毎日働けると思うんだ。あと、このハンドクリームは母さんの手を労ってくれると思うんだ。母さんの好きな金木犀の匂いだよ。明日からの仕事が楽になると思うんだ。クリームだけでも早速使ってみてよ!すごくいい匂いなんだよ」
母さんは下を向きながら、首を縦にゆっくりと降った。母さんの表情が見えないだけに怖かったのだ。喜んでいる?怒っている?悲しんでいる?様々な考えがケイスケを襲った。しばらく母さんが下を向いているので、ケイスケはそわそわした。やがて顔を上げると目には大粒の涙を浮かべ、目の周りがマスカラの落ちた後で黒くなっていた。
「ケイスケ、本当にありがとう。ゲーム機を売ったなんてどうでもいいの。母さんにとって、ケイスケが一番の贈り物よ」と涙で濡らしている母の姿を思い出す。
「贈り物」を考えるといつもこの話を思い出すのだ。どんな犠牲を払っても誰かに喜んでもらうために贈り物をする。プレゼントを選ぶ中で、これほど賢明な選択をしたものはあまりいないだろう。その心意気こそが正しいのだ。贈り物をするならこうする者が賢いのだ。どんな国でもどんなとこでも、こういうものが賢い。心からの気持ちが贈り物なのだ。
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