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ヨックモックのシガールが好きで、その彼氏と付き合っていたころもよく食べていた。
クリスマスが近づいてきて、今年はサンタさんの長靴もあげるねと言ってきた。ヨックモックのシガールも入れてあげると……。
クリスマスの日になり、二人だけのパーティーが開催され、プレゼントを交換した。今年はサンタさんの長靴もあった。ヨックモックのシガールも入っていると聞いていたから、楽しみにしていた。
やったー! ヨックモックだー!
赤い長靴から取り出してみると、ヨックモックのシガールによく似たお菓子が入っていた。ヨックモックなら包装が青いはずなのに、なぜかキツネ色をしている。風月堂と記されている。
「何これ? ヨックモックじゃないじゃん」
「は? お菓子なんてみんな同じでしょ?」
彼は悪びれる様子もなく、むしろクレーマーを責める表情を浮かべていた。
「ヨックモックが好きだって知ってるよね?」
「だってうちの近くの店にそれしかなかったから……」
風月堂の菓子が不味いわけでもなかった。ただ何か悲しかった。心にぽっかりと穴が空いた気がした。
いつしか二人は別れ、誕生日やクリスマスの日にもらったプレゼントはすべてなくしてしまった。あの頃の彼氏といた日々のことをほぼ思い出さなくなった今でもあの時にもらった穴はどこかに残り続けている。
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