オフロード・パス

　その日、私は出会った。

　おかしなことを言う人に……。

　いや、大概(たいがい)、いつもおかしなことを言う人なんだこの友達はと、分かっちゃいるけど、止(や)められない！

　わざわざ訊(き)くのが、止められない♪

｢ラグビーワールドカップ2019では、日本代表チームの快進撃、ほんと感動したよね～！｣
｢そだね～！｣
｢『オフロード・パス』なんて言葉も、よく聞いたね～！｣
｢そだね～！｣
｢タックルを受けながらも、フォローに来た選手に繋(つな)いで行くオフロード・パスでのトライ、カッコよかったね～！｣
｢そだね～！　で、そのオフロード・パスって、アルファベットで、『ビー・エー・ティー・エイチ』、って言うんでしょ？｣
｢えっ？　『ビー・エー・ティー・エイチ』？｣
｢……じゃなかったっけ？　シャワーとか、湯船とかある……｣
｢『B・A・T・H』？　……って、そら～『オフロード・パス』やなくて、『お風呂～の、BATH《バス》』や～～～ッッッ！！！｣
｢こりゃ、失敬ッ！　ニャハッ♪｣
｢チャン、チャンッ♪｣

　この友達は、いつも、おかしなことをわざわざ言っては、ちょっとした気分転換をさせてくれる。

　いつも、いいパスをありがとう♪