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スキー授業
晴天の凍れた朝、ボクらはスキー場にいた。今日は中学年と高学年の合同のスキー授業だった。子供達はAクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラスに分かれてそれぞれ先生が付き添いスキーを楽しんでいた。ボクと快斗は増田先生が担当するAクラスでリフトに乗りながらチョコレートを分けて食べたり雑談していた。
12時の号令と共に先生達は子供達を集める。そこで、ボクらはAクラスの子供が一人足りない事に築く。ボクらの隣のクラスの松島小雪ちゃんが居なかった。そして、急に天気が悪化する。このまま小雪ちゃんを独りにするのは危険なので増田先生は彼女を探しに行こうとする。そんな先生をボクと快斗は引き留める。
「先生、無闇に探すのは効率が悪いと思いますよ。」ボクは提案する。放送で彼女のゼッケンを頼りに情報を集め迎えに行くべきだと。そして、快斗は「単独行動はダメなんだろ、先生。俺らも付き合うぜ。」と協力を申し出た。「そうね、天野くんと時和さんは私と来て、他のみんなはロッジに戻っていてくれるかしら。」と増田先生は言った。
ボクらはスキー場の関係者に放送をかけて貰い小雪ちゃんが自分でロッジに戻るか、彼女を見かけた人は学校の関係者に知らせて貰うようにした。
「レイー、コロモ何か手伝いたい。」コロモが求める。「そうですね。では、コロモはこの天候をリセットする為に力を貸してくれますか?」ボクはコロモに頼む。コロモは喜び力を与えてくれた。天候は急に晴天に戻る。「天候を戻したのはいいけど山の天気は変わりやすいと言うから早く松島を早く見つけないとな。」快斗が言う。「悪霊の仕業なら僕達も力を貸すよ。」珍しくサトルがしゃべった。「みんなありがとう。早く松島さんを見つけないとね。」増田先生は頼もしそうに微笑んで、コハルはボクらを優秀な悪霊ハンターだと誉めた。「本当に二人にはいつも助けられるわね、千波。」と言い。「そうね、私達も頑張らないとね。」と増田先生はコハルにささやいた。
もしかしたら小雪ちゃんがロッジに戻っているかもしれないと思いボクらはロッジに向かう。そこでは「ねぇ、知っている?このスキー場には白い女性の霊が出るんだってー。」Cクラスのある子供のグループが怖い話しで盛り上がっていた。「まるで雪女伝説だねー。」きゃっきゃと女子が騒ぐ。「やぁ、君達。その幽霊の話し、俺達にも聞かせてくれよ。」快斗が興味信心に言う。グループのリーダーが了承しボクらも話しに加わる。
3年前、このスキー場のあるコースでの事故で一人の女性が怪我をした。女性はそのまま亡くなりスキー場に未練があるのか地縛霊となった。女性の霊はこのスキー場で子供を見つけてはどこかへ連れて行ってしまうらしい。小雪ちゃんもその霊に連れて行かれたのだろうか?彼女がどこにいるのか、ボクらは考える。そして、まずは噂の霊を見つける事にした。
ロッジでボクらはスキー場の関係者に話しを聞く。増田先生はコハルの力を借りて情報をより細かく手に入れようとした。「おかしいわね。スキー場の方によると行方不明になった子供は一人もいないのよ。」増田先生は首をかしげる。勿論、スキー場の人は嘘を付いていなかった。それどころか3年前にそんな事件は起こってすらいなかった。地縛霊の話しは完全な作り話だった。
ボクは思った、小雪ちゃんはボクらとはぐれて何かの事情でロッジに戻って来れないだけなのではないかと。「なぁ、レイ。いっそのことこのスキー場の全コース滑りに行こうぜ。」快斗の提案にボクは同意し増田先生を含め3人で山に向かおうとしたその時、ロッジに2人の人間が現れる。一人はリフトの管理をしているお兄さんでもう一人がなんと小雪ちゃんだった。小雪ちゃんは泣きながら増田先生に抱きつく。「ごめんなさい。先生、スキー中に転んでメガネが壊れて天気も急に崩れるし私、怖くなって動けなくなっていたんです。」増田先生は小雪ちゃん を抱きしめ「そうだったの。大変だったね。先生こそ築かなくてごめんね。」と優しく言った。そして、リフトのお兄さんにお礼を言う。お兄さんは天候が晴天に戻った時、一人うずくまる小雪ちゃんを見つけロッジに連れて来てくれたそうだ。
13時頃、ボクらはロッジでようやく揃ったAクラスのみんなと給食を食べた。今日は悪霊に会うことのない日常だった。天気も晴天のままスキー授業が終了した。
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