愚痴を吐くのはお酒とともに

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愚痴を吐くのはお酒とともに

ーーーああ、今日も駄目だった。 今の会社に就職してからもう3年。 学生の時は自分で言うのもなんだが喋りが上手く、営業職に就きたいと仲間や恩師に相談をした時にはみんなが向いてると太鼓判を押してくれた。 「お菓子を食べるのが好きだったから」と言う理由で、丁度求人に出ていた今の会社の面接を受け、トントン拍子で最終の面接にも問題なく合格し、今年の年度始めから念願の営業部に配属された。 配属前から期待されていたらしく、当然、噂程度で自分の耳にもその声は届いていたが気が付かないふりをした。 だがどうだろう。 間も無く半年が経つのに、まだ1件も仕事が取れていない。 配属したての頃に受けていた羨望の眼差しも、いつからか哀れみと嘲笑のみになっていた。 今年は台風の影響で秋半ばにも関わらず、寒い日が続いており、まだ早いかなと思って一応押入れから出した冬用のコートも羽織るのに丁度良い気温だ。 夏は例年よりも猛暑日が多く、残暑がいつまで続くのかと言うニュースが嘘のように寒暖差が激しい。 まるで自分の置かれている立場とおんなじだ。
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