愚痴を吐くのはお酒とともに

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がっくりと実った稲よりも深く下を向いていると、ポンっと肩に手が触れた。 首だけで振り返ると上司がニコニコしながら立っていた。 「お疲れ様!もう就業時間だぞ。  最近残業すると上が五月蝿いからもう今日は帰ろう。  飲みにでも行くか?」 「お疲れ様です。  ・・・すいません、今日はやめておきます。  せっかく誘ってもらったのに申し訳ありません・・・。」 「いや、こっちこそいきなりで悪かったな!  それじゃあまっすぐ家に帰るとするかな。  ・・・あんま根を詰めんなよ。」 そう言うと残酷なほど優しい上司はヒラヒラと手を振りながら帰宅して行った。 しばらく、自分はもう少し仕事をするかどうか、5分ほど迷っていたが落ち込んでいる気持ちがの方が勝り、パソコンの電源を切るとため息をつきながら帰宅の途についた。
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