【番外編】雪見と菫と桜と(後編)

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「ただいま帰りました」  雪見は上機嫌で帰宅した。手にしているのはようやく完成した油彩画。絵画の教師にも褒められた雪見の自信作だ。 「お疲れ様」 「お帰りなさい。絵はできたの?」  出迎える継母達に雪見は早速絵を見せーーいや、その前に。  雪見は絵を小脇に抱えて、脱いだ靴を揃えた。右側一番隅の、菫の靴の隣が雪見の定位置だ。いつものように揃えた靴を置いた。 「ねえ、早く見せてよ」  催促する真弓の声に応えて、雪見はリビングへと向かった。それはとても平凡な日常の一幕だった。
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