色川浅葱

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 追い打ちをかけたのが、電車遅延と早弥のメッセージ。  読んだ瞬間、(何で、あの子が?)と悔しさで頭が熱くなった。  一人でやっていくといったって、彼女に上手くいくわけないと鼻で笑っていた。  親の脛をかじり、いい加減に生きていく、どうしようもない奴だと思っていた。  卒業後も適当に生きる生活を選んだ友人を、心の中で蔑み、少しだけ羨んでいた。  学生時代は一緒にいた時間が長かったが、卒業してからは仕事するのに精一杯で近況報告も怠っていた。  それが、たった1年で個展というのだ。 (自分だって同じようにしていれば……)  置いていかれた気がしただけじゃない。  気が付けば全く違う道を歩いている。  向こうは栄光の階段を。  こちらは暗い汚い下道を彷徨っている。 「絶望して、すべてを終わらせたくなり、私は衝動的に線路へ飛び込んでしまったんだわ」  追い詰められて疲弊した精神状態に、追い打ちをかけたのが友人からのメッセージだった。 「人が成功したからといって、死のうとする? お友達だったんでしょ」 「冷静になれば間違っていたと分かるけど。あの時はそれ以外何も考えられなかった」 「もし後悔があるなら、どうすればよかったのか考えてみるために、過去に行ってみる?」 「過去に?」 「そう」 「……行ってみたいかも」 「戻れるのは一回だけ。制限時間は24時間。いつがいい?」 「また、ここに戻ってくるってこと?」 「そう。ここに戻ってくる。でも、過去の選択次第で、もしかしたら違う状況になっているかもしれない」  今の状況が変えられるなら、それでもいい。
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