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「これをつまみに一杯いただくね。何にしようかな……。さっぱり飲めるものがいいな……」
浅葱がドリンクメニューを見ながら日本酒のソーダ割りにしようか普通の日本酒にしようかと迷っていると、レンゲちゃんが「いいものがあるよ」と、瑠璃色の一升瓶を出して見せた。半透明の繊細な瓶だ。
「これ、スパークリング清酒なんだけど、飲んでみない?」
「スパークリング清酒?」
「うん。お祝いっぽくなるでしょ」
「確かに、シャンパンみたいかも。それ、ください」
「はいよ」
レンゲちゃんは、瑠璃色のおちょこグラスを出した。器が百合の花を模っている。それも綺麗。
「炎加、お願い」
レンゲちゃんが一升瓶を炎加に手渡すと、炎加がスパークリング清酒の栓をスポンと抜く。それを再びレンゲちゃんの手に返す。あざやかな連携プレー。
(仲がいいんだな……)
浅葱も炎加のような素敵なパートナーが欲しくなった。
もちろん恋人がその最高峰だが、炎加のようなビジネスパートナーでもいい。
何も言わなくても阿吽の呼吸で、浅葱の必要とする絵筆や絵の具、水を渡してくれたら最高だろう。
レンゲちゃんがお酒をおちょこに注いだ。
「はい、どうぞ」
キメ細かな気泡が次々と底から上昇しては、空気に触れてパチンと弾ける。
――シュワシュワパチン。
弾けるごとに表面がキラキラと光り、まるで祝砲のようだ。
「ああ、綺麗。本当にシャンパンみたい」
飲むと口の中でもパチンパチンと弾ける。爽やかな辛口の飲みやすい清酒だ。
「はー、美味しい」
この一杯で恍惚となる。
「では、炎加さんの贈り物をいただきます」
最初に手を合わせてから、小ブナのスズメ焼きをサクッと食べた。
カラリと揚がり、小骨までサクサクと食べられる。甘辛のバランスも丁度いい。
(本当に、我が家に来てほしい)
毎日食べたい味。
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