第1話 二つの結婚指輪

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「え? あーどうしたの? 瑠花」 「どうしたの、じゃないよ! ママったらボーっとしちゃって。もうパパかえってきちゃうよ⁉」  言われて時計を見る。 「え、嘘! もうこんな時間⁉」 「ママさっきから全然手が動いてなかったよ。いつも瑠花がお片付けする時は、手を動かしなさいって言ってくるくせに」 「うぐふっ……」  最近おしゃべりが得意になってきた四歳児にクリティカルを決められてしまった。  我が娘の瑠花は、どこで習ってきたのか、まだ幼いのに憎まれ口もお手の物である。他の家の子もこれぐらいは普通なのだろうか。不安だ。将来小言の多い姑とかにならないだろうか。かなり不安だ。
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