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最終話 父と娘とじゃっじゃ~ん
記憶を辿っているうちに、瑠花はすっかり興味を失ってしまったらしい。先ほどまで左手の薬指に熱心に注がれていた視線は、今や目の前のホールケーキにくぎづけだ。
さ、あとはイチゴを盛りつければ完成だ。
イチゴを冷蔵庫から出すついでに私は食器棚から平皿とフォークを三つずつ取り出す。
「あ! ママ、フォークは瑠花がはこぶ~」
「あらお手伝い? ふふ。ありがとう」
じゃあお願い、とフォークを手渡す。瑠花はてとてとダイニングテーブルへ向かっていく。危なっかしいが、それでもきちんと成長してくれているようで何よりだ。
瑠花がテーブルの上にフォークを並べたその拍子に、卓上のサルビアの花が、少し揺れた。
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