1:乱ジェリー of the デッド

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   そう、クォーツの脚は細すぎず程よい筋肉質と女性ならではのしなやかさが共存する白い太もも。  認めたくないがクォーツは化粧水や乳液などアホみたいに毎日塗りたくっているだけあってその肌の透明感は国宝級。  よく黒いスカートを履いている事でその究極のコントラストは俺の下半身に深いムラムラとして刻まれている。  馬鹿野郎なんでこんなに簡単な事を忘れていたんだ。ムッツリスケベの風上にも置けないじゃないか。  肌の状態はシルクのようにスベスベな上、O脚を否定し真っすぐに伸びるそれこそ脚フェチ界を支える2つの主柱。  特筆すべきは本来その中間にある歪んだ関節……そうヒザ小僧だ。  ヒザ小僧はいつも周りにシワを寄せ年齢と共に悪事に走る事が多い。    だが彼女に搭載されているのはヒザ小僧という狡猾な悪党とは違い美しい曲線を描く……そう、ヒザのお姫様だ。  二本の柱という純白の王宮で紅茶を啜り『今日も良いお日柄ですね』と呟く脚フェチ王国のヒザ姫。  そんな姫君は一度戦場に出れば全ての軍勢を勝利へと導く聖女ジャンヌダルクと言ったところか。  彼女の特性を最大限に生かす為にはここを一気に責めるしかないだろう。  そして俺はハンガーラックから目に留まった一着を手に取ってみる。 「これは……」   ワンピース……白いワンピースだ。  自然と手が伸びてしまったが、ノースリーブでしかも丈の短かいフォルム。これなら上下選ばずとも一度で決着がつく。  設計は一見単調だが、慎ましく開いた胸元にはしつこくない上品なフリル。 それが彼女の弱点へと向けられる敵兵の視線から身を守る装甲のような役割を果たす上に若干ボリュームも補うという合わせ技。  更に丈の短さによって究極の生足は無条件に解放。何よりもあのドス黒い野蛮な内面を一掃する白く女性らしい偽装工作も完璧だ。 「これにしよう……」 「フフ、クロさん……なかなかお目が高いですね」  そこには壁に半身を預け、神々しく反射する眼鏡を一度あげるパド。 「白いワンピース……悪くない選択だと思います。いやらしくない……だがいやらしい。ねぇクロさん?」 「そ、それは……」 「清純無垢なイメージを持ち、その丈が抱える陰謀は深い……まるで悪魔のような恐ろしい一着。クォーツさんにぴったりかと」 「ああ。まさに今その悪魔に支配されそうだったんだ。もう少しでこっちの世界に帰ってこれないところだった」  俺は頬に流れる汗を腕で拭うとパドは穏やかな表情で俺の肩に手を置いた。 「クロさん、それを選んだのは自らの意思……つまり好みなんです。あなたが望む理想の女性に着てほしいという願望。それが白いワンピースなのです」 「なるほどね。答えは最初から決まっていた。そういう事か」  思考ではなく……嗜好だったと。  フフ……こいつはやられたぜ。 「俺、なんか自分が恥ずかしいよ」 「いえ、恥ずる事などなにもないのです。我々には次なる戦場が待っています。ここで歩みを止めてはなりません」  そんなパドがいつの間にか持ってきていたカートの中には、いくつもの厳選されたであろう数多の女性服。 「パド……お前は一体何者なんだ?」 「私ですか?そうですね。クロさんと同じ……ひとりの男。ただそれだけの事です。あっちサイドの男です」  あっちサイド……だと……?俺はこっちサイドだっていうに  時代を、時空を超えた先の世界にも俺と同じむっつりスケベ……いやただのスケベは確かに存在する。同じ価値観を持った男という唯一無二の同胞が。 「なあ俺もあっちサイドに入りたい。こっちサイドは息苦しいんだ」 「こっちサイドにいる本当の自分と対峙した瞬間からすでにあっちサイドなんです。垣根なんて初めから無い。本当の自分に打ち勝てるかどうか。ただそれだけです」 「そうなのか……ありがとう。今まで何を恥ずかしがってたんだろうな。これからあっちサイドの仲間としてよろしく頼む。俺、なんか楽しくなってきたよ」 「まったく……どんどん成長していきますね、クロさん。さあ行きましょう。あなたも今日からあっちサイドだ」  そうして『むっつり』を解放した俺はすでに開放しきっているド変態と共に与えられた任務を遂行していく事に。
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