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贈り物を準備せよ
11月にしては暖かな日差しがカーテン越しに狭い棚を温める。
この小部屋に『主』が訪れなくなって何年が過ぎたのだろう。
棚に並べられていた『形代』達も使われる事なく眠っている。
静かに時だけが砂のように流れていた。
(おい!起きろ魔夢!)
何?・・誰かが私の名を呼ぶ・・
(おい、起きるんだ魔夢)
うるさいね・・誰だいこの私を起こしてタダで済むと思って・・
ん・・この名前で私を呼べるのは・・ゆっこかい?
いや、あの子とは似ても似つかない声だ。
『主』様・・でもない・・
(真夢、俺だキンだ、頼みがあるんだ、起きてくれ)
なに?
キン・・キンって金魚かい?
棚の上で黒と黄色の縞模様の塊が揺れる。
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