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一方キンはジュニアの元に戻ると直ぐに魔夢を吐き出した。
ここまで来る間に口の中で暴れる魔夢が何度も喉を蹴りあげた。
おかげで危うく魔夢を落としそうになるほどだった。
吐き出された魔夢は怒りながら立ち上がる。
キンに文句を言おうとしてジュニアに気付いた。
「あんた・・」
「雪南の兄のジュニアです」
ジュニアは笑いながら魔夢とキンを見る。
「ジュニア・・
ゆっこの兄さん」
魔夢はジュニアの顔をまじまじと見つめる。
方代になる前に別れた幸乃に生き写しだったからだ。
(驚いただろう?
何せゆっことは双子だからな・・
でも顔はジュニアの方が昔のゆっこに似てる。
俺は昔から二人を見てるから気が付かなかったんたが、ご主人はそう言って笑っていたからな)
キンは嬉しそうにジュニアと魔夢の周りを泳いだ。
「アラン・ジュニア・島田さま・・
アラン・ジュニア・島田さま18番の窓口までお越しください」
銀行について40分、換金の用意が出来たのかジュニアの名前が呼ばれた。
「魔夢さんお願いします」
ジュニアはそう言うとポケットから美也子名義の印鑑を出して魔夢に渡した。
「アラン・ジュニア・島田さま、おられませんか?」
窓口の女性が周りを見回しなかがまたジュニアの名前を呼んだ。
「はい、います」
ジュニアは魔夢を伴って窓口へ急ぐ。
「島田さま、失礼ですがこの量の金貨を換金なさるには未成年のお客様だけでは・・
親御さまの同意書はお持ちですか?」
窓口の女性がジュニアの顔をまじまじと見る。
「同意書は無いですが、母が一緒に来ています」
ジュニアは後にたっている魔夢をふり返る。
魔夢はジュニアの側に寄るとニコッと笑って女性を見た。
「お母様が・・
では同意書を作製致しますのでサインと印鑑を・・」
その言葉を待っていたジュニアが魔夢の右手を女性に向ける。
その手には痛々しく包帯が巻かれていた。
「実は昨日料理中に怪我をしまして・・
左手か息子の代筆ではダメでしょうか?」
魔夢は少しうつ向き加減にそう答えた。
「そうですか・・
少しお待ち下さい、上司に確認してきますので」
女性がその場を離れると魔夢が不安そうにジュニアを見る。
「大丈夫だよ、僕の身元はしっかりしてる。
それに母は昔、銀行に勤めていたんだ。
上司に確認するって言うのはあくまで形式的なものなんだ、断られる事なんかない」
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